私にとっての建築

エッセイ・コラム

新年にあたって、
今回の設計は前回の設計より少しでも良くなるように、今日の自分は昨日の自分より少しでも高めようと思う。
というのは、建築は、それを設計する建築家の哲学の具現化であり、その人が、生きることをどう考えているかが、そのまま形になってしまうからである。
 父の考えが基本にあるが、33歳で自分の家を設計した。その時流行だした亜鉛板という金属板を用いて格好をつけたかったように思う。今から思うと、その時は物事の本質を見ようとせず、体裁にとらわれた生き方をしていた。その後、金属板の欠点を熟慮していなかったために、建物が傷んで修理し、自宅のお蔭で随分勉強になった。20年ほどの間自分の設計を見ていると、何かしら発見があり、住宅に対する考えがまとまってきたように思う。生きているといろいろなことがあるが、そこから少しでも学んで、明日への成長につなげたい。