コンクリートの打設/A邸

A邸 , 建築

昔は、水の少ない固いコンクリートを丁寧に打ったそうです。
㈱総合コンクリートサービスの岩瀬文夫さんによると、近年のコンクリートが、すぐにひび割れて長持ちしないのは、水の多いコンクリートを型枠に流し込むようにして作るのが、主な原因とのことです。
今回の計画では、コンクリート造の住宅はスランプ12のコンクリートを丁寧に打てるよう、設計の段階から対処しました。一般に使われている、やわらかく、どろどろと流れるスランプ18のコンクリートと違って、粗骨材の多い固いコンクリートを打つには、現場の皆さんの良い建物を作るのだという気迫とチームワークが必要です。一般に施工されているコンクリート打ちより何倍も手がかかり、重労働だからです。この現場のコンクリート打ちは、普通1回でするところを4回に分けて(丁寧に打つので、1日に少ししか打てない)、皆さんが一丸となって、一生懸命に打設して下さいました。
水気が少ないコンクリートはホースから出てきてもそのままの位置にあるだけです。
そこで、バイブレーターで振動をかけ、型枠の隅々まで行き渡るようにします。バイブレータは30mmの口径の物が一般で使われていますが、今回の現場では30mmの1.7倍になる50mmの口径のものを使い、二人がこれを持ってホースのそばで、コンクリートの空気を追い出し、隅々までコンクリートを充填します。50㎜が入りにくいところを40㎜の口径のバイブレーターで、フォローします。その後を左官屋さんが均していきます。気候にもよりますが、1時間程して、少しコンクリートが乾いたところで
再度バイブレーターで振動を与えて、まだコンクリート中に残る空気を追い出します。再振動をかける間隔はバイブレーター口径の5倍ピッチごとに丁寧にバイブレーターをかけます。(今回の現場だと再を40mmの口径で行いましたので20cm間隔で)
スラブは圧力をかけるため、足で踏み固めをしさらにタッピングをして圧力を加えます。そして、打ち終わったコンクリートが急激に乾かないよう水をはったりシートで丁寧に養生します。

こうして丁寧に打たれたコンクリートは一般に打たれている物に比べコンクリートの密度が高くとても固いものとなり、表面はガラス質でとてもきれいになります。