木材の効果

エッセイ・コラム

今年6月中旬で去年秋から始まったMET LIVE VIEWINGが幕を閉じました。
これは、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演された最新オペラ公演を高画質映像とダイナミックな音響でスクリーンに上映するというものです。
もちろん生の舞台にはずっと劣るでしょうけれど、歌手や指揮者,演出家達がトップレベルなので,毎回感動の連続でした。
今回上映された中に、ロベール・ルパージュ演出のワグナー「ニーベルングの指輪」序夜と第一夜がありました。
新演出ですが、こんなにワグナーの全てを表現できた人は他にいないのではないかと思わせる程すばらしいものでした。もちろん指揮者、歌手、オーケストラが一体となってできたことですが。舞台装置は木の角材でできていて、それが照明等により、表情を変え、またたくさん束ねたように繋げられていますので、装置によっていろんな角度に動き、どんな場面にも対応してくれました。
建築の設計に携わる者として、印象に残ったのは幕間の歌手へのインタビューです。
「舞台の音響がとても良いので、以前につけたこともあるコーラスが要らなかった。」ということでした。木の角材は音響効果にも一役買ってくれたようでした。