登録文化財「大道(旧)山本家住宅」/ 改修

この民家は、竹内街道に面しています。付近は江戸期には旅篭や茶店が軒を連ねていましたが、現在は道標や伊勢灯籠などが、かつての面影を伝えています。主屋は敷地ほぼ中央に北西に面して建ち、桁行七間半、梁間五間、屋根はいわゆる大和棟の形式です。主屋北西に離れがあり、庭をはさんで渡り廊下で主屋とつながっています。
 この建物は大阪府太子町の所有で、元の建物を傷めていた改造部分を取り除き、最盛期だったころの姿に戻しました。青少年が昔の生活を体験できるように、また、市民の催しにも使うことができました。川のある方へ傾いていた建物を建て起こして構造補強をし、雨が漏っていた屋根や剥がれていた壁を修理しました。

「住宅建築」2004年9月号に掲載。

 Photo by 東出 清彦

所在地:大阪府南河内郡太子町
竣 工:明治初年
構 造:木造平屋建
延床面積:222.80㎡
施 工:阪上工務店

改修風景

1)切り妻屋根、大和棟、平入りの民家。前面道路から主屋の屋根を見た様子。(修復前) 2)近年に建て増された付属棟。このたびの工事で取り除いた。(修復前)
3)主屋の床をはがして新に基礎を打つための配筋。束石もコンクリートで固めてしまう。 4)傾いた建物を、たておこしている様子。たておこした後はふすまや障子など建具がスムースに開閉する。
5)白アリにやられた大黒柱と近年の改造で細い部材に取り替えられた差鴨居を取り替える。 6)土壁を塗るために伝統的手法の竹小舞をかいている。土に包まれた竹は100年経ってもほとんど今の状態を保つ。
7)大和天井と呼ばれる土の載った天井を一部はずし、補強の梁を入れる。 8)ほとんどの大引や根太を再度利用して床を造作している。
9)痕跡を元に、かまどのレンガを積み上げている。 10)竹小舞につけた下塗りの土を均している。
11)床の間の両脇の間仕切壁は、杉板の斜め貼りにより耐力壁とした 12)元の茅葺を残したまま、新しい茅を足して葺いている(さし茅)。これでまた、20年ぐらいは雨露を凌ぐことができる。