●BLOG:
ホームページリニューアル
ホームページをリニューアルいたしました。 これからも宜しくお願い致します。
新建築「住宅特集」2011.03 掲載
プロダクト化の可能性
本誌2月号の特集「小さな家」の中で中村好文さんの「Lemm Hut」が目を引きました。それは、ライフラインにつながれていない住まいと暮らしの提案で、エネルギーを自給自足することが可能になったら、それこそ本当の「文化住宅」と呼べるのではないか、というものです。人類の原点を考えて住まいを設計する中村さんの視点は、住宅の設計のうえでとても大切なことだと思いました
新建築「住宅特集」2011.02 掲載
「多面体の屋根・館山」 横河建/横河設計工房
東京駅から高速バスに乗り、南へと走る。
紺色にきらきら光る東京湾を横切り、さらに房総半島を南下すると館山に着いた。
住宅地の中の海に面した敷地に「多面体の家」は空から舞い降りたかのように佇んでいる。
横河さんは、以前に「『インテリアスキン』ということで内部空間の皮(がわ)一枚が成立すると外観が決まる」ということを探求されてたそうで、「中から決めると外は決まります」とおっしゃっていたのは、印象的だった。
新建築「住宅特集」2011.01 掲載
佇まいをつくるもの
佇まいで好ましいと思うのは、目に飛び込んでくるのではなく、どちらかというと、控えめに佇んでいる建物です。美しい場所を訪ねない限り、最近は町を歩いて好ましいと思うものに出会うことはほとんど無くなりました。デザインされた建物も「美」の基準が変わってきているのか、なかなか美しい佇まいと思える物が少なくて、自分が時代についていけないように思えます。
佇まいというと外観のことだと思ってしまいがちですが、人の内面が外見に現れているように、建物もよく見ると住まい手や建築家の思想が外に現れています。
新建築「住宅特集」2010.12 掲載
「帝塚山のセミコートハウス」 横内敏人/横内敏人建築設計事務所
「帝塚山のセミコートハウス」がある帝塚山は、大阪市内でいちばん定評のある邸宅街である。敷地の規模が大きく古くからの和風の邸宅もところどころに残り、閑静な町並みをつくっている。その中でセミコートハウスのタイル貼りの美しい外観は周辺に融け込み、落ち着きを与えている。建主さんは、この家に住むようになってから、頻繁に掃除をするようになられたそうである。外回りもいつもきれいにしていると、ご近所の方々もそれに見習って、近辺はゴミ一つなくきれいにされている。そこに住む人、周囲にもよい影響を与えることができる建築は、素晴らしい建築であると思う。
新建築「住宅特集」2010.11 掲載
ディテールを考える時
今月の特集「『住空間のディテール2』スケール感を生み出す」は設計者のディテールに関する考えや詳細図が掲載されていて興味深いものでした。そしてもう一度自分のディテールを問い直すよいきっかけにもなりました。「帝塚山のセミコートハウス」の開口部のディテールは開口部を閉じる時の装置を完璧に準備しながら、開ける時の内外の一体感を美しく実現しています。
新建築「住宅特集」2010.10 掲載
「OKA MASAKAZU HOUSE」 元良信彦/モトラデザインスタジオ
軽井沢の繁華街からほど近い別荘地。きれいに手入れされた敷地の中に、真新しい板貼りの山荘は佇んでいた。庭を挟んだ向かいに母屋も控えめに建っている。元良さんはこの改修工事にあたって、竣工してから76年の間にまるで別の建物のように改造されていた箇所を取り除き、建主ご家族が軽井沢での山荘生活を満喫できるように行き届いた設計をされている。ご自身は黒子に徹して、アントニン・レーモンドの設計が生かされている。この姿勢こそが歴史的建造物修理の基本精神であり、すばらしい改修設計になっているゆえんだと思う。
生コン工場調査 /A邸
新建築「住宅特集」2010.09 掲載
歴史のある建物の改修
建物が100年近く生き続ける間にはいろいろなことが起こります。それらの障害を乗り越えて幸運にも残ることができた建物は、先人の知恵や思想を学び、実感できる数少ない遺産です。特に子供達は古い家を訪れることによって,現代の家にはない歴史を肌で感じて様々なメッセージを受け取り、人格形成にも影響を受けるのではないかと思っています。
新建築「住宅特集」2010.08 掲載
「守谷の家」 伊礼智設計室
東京近郊につくられた新しい住宅地に、住宅メーカーの商品化住宅がびっしり建ち並んでおり、その中にひときわ低い「守谷の家」がひっそり佇んでいる。外に対して友好的な塀の高さは中が見えるくらいに抑えられ、周囲に威圧感を与えない。道路と反対側の敷地は緑道に面し、建主さんと行き交う人の間で挨拶が交わされ、なるほどこの地域ならでは、と思わせる。
新建築「住宅特集」2010.07 掲載
環境を自然とつながる家から考える
6月号の特集「環境への視線-熱・光・音etc.の設計手法」における作品はそれぞれに真摯に環境について取り組んでおられました。「T博士の家」はコンクリート造であることと、緑がないことを認識して、多くの環境への配慮をしっかり行い、環境実験住宅には見えない美しい家であり、素晴らしいと思います
新建築「住宅特集」2010.06 掲載
「聖居」 椎名英三建築設計事務所
真っ青な空に若葉の萌える伊豆高原はツツジの花が咲き乱れ、風光明媚というにふさわしい。桜並木を進み、坂を上ると「聖居」は斜面の片隅に、地面すれすれに浮かんで佇んでいる。ファサードは正方形で、屋根はふわりと載せられているため控えめに在る。敷地は崖状になっていて、建物は斜面の底に埋もれるかのようにはめ込まれている。
新建築「住宅特集」2010.05 掲載
新しい家族関係とは?
4月号の特集「風景と光の受け止め方」は窓や開口部を人の行為と関係する境界面のあり方として見る切口、そして特集記事「室内窓が生み出す住空間」で室内窓を新しい家族関係の創出と豊かな空間や環境の実現に対する有力な手法のひとつとする位置付けは非常に興味深いものだった。
新建築「住宅特集」2010.04 掲載
「南が丘の山荘」 益子義弘/益子アトリエ
誌上で拝見している時から、益子さんの住宅には「心のやすらぎ」が感じられた。この空間に居るときっと心が穏やかになるのではないか、それはどうしてなのだろうか、と以前から思っていた。幸運にも「南が丘の山荘」を訪れる機会を得た。
敷地に近付くとカラマツの林の中に格子の美しい妻面が現れ、玄関は何気なく建物に取り付いている。廊下から広間に入るとスクッとカラマツが立ち並ぶ雪景色が目の前に広がる。きれいだ。
新建築「住宅特集」2010.03 掲載
国産材を見直す
このたびの「木の住空間2010」は木のさまざまな使い方による住空間が提案され、木には多くの可能性があることを教えられた。特に「流星庵」は全て90㎜角の製材の木組みにより、美しく心地のよい住空間がつくられている。ルーバー状のフレームは使い方によっては室内に露出しすぎてうるさい感じになるが、この住宅は、玄関から浴室までの廊下を含んだ空間に限定され、バランスの良い配置になっている。天井下と床上に柱が露出するスリット状の開口部を持つ耐力壁「貫仕様構造用合板張り真壁」もまた名解答である。
新建築「住宅特集」2010.02 掲載
Steel Truss を訪ねて 木村博昭+Ks Architects
「Steel Truss」は私にとって、とてもインパクトのある建物だ。鉄に対する私の既成概念をことごとく打ち砕いてくれたように思う。見学前に読んだ本誌の記事に「鉄はエッフェル塔に代表されたように、その美しさはレース模様の意匠と構造の一体性」とあったが、意匠と構造の一体性にまで理解が及ぶ以前に「エッフェル塔のレース模様の意匠」という時点で理解しがたかったが、見学した今はエッフェル塔のレース模様に肯けるから不思議である。
新建築「住宅特集」2010.01 掲載
「住宅風景の転換」を読んで
「住宅風景の転換 家や暮らしが変わるとき」は興味深い特集でした。歴史上、日本の住宅は何をきっかけに、どのように変化したのかが建築史家によって、それぞれに述べられていました。内田青藏さんの「住まいそのものにも接客機能を排除した『家族だけの住まい』のひずみが現れ始めているように思う」、小沢朝江さんの「『接客』という行為は、家族が社会に対して開くこと、社会を招き入れることを意味する。住宅が社会的存在であり得るために、現代の『接客』のあり方とその空間が問われている」という話は非常に的を射た指摘でした。